法定相続

死後の財産は、誰のものか

相続人(死亡した人)に、何の権利も義務もなければ(財産も借金も何もなければ)、事実上相続の問題はほとんどありません。しかし財産とは別に墓の相続(正確には「相続」ではありません)などのこともありますから、相続に関して、完全に手続きも何もないということはあまりありません。

問題は、財産や借金等がある場合です。まず、借金はないけれども不動産や預貯金があるとすると、その財産は誰がもらうのが一番良いのでしょうか。

  • 相続人で等分に分ける
  • 長男のものにする
  • 全部配偶者ものにする
  • 生前、親しかった人のものにする
  • すべて法に記載のとおり
  • 相続人自身が決める

相続人が決める

戦後の法では家父長制度(家督相続)を廃止して、個人・平等を重視します。個人の尊重と平等はもちろんですが、かといって日本の伝統や先祖からの名誉・不動産なども受け継ぎたいと思っている人が多いのではないでしょうか。

相続では、被相続人の最終意思である遺言書をまず優先します。
相続人が死亡直前に意図していた通りにするのであれば、とにかく遺言書を遺しておく必要があります。
ですから、相続人は法定されていても、

があるのは納得できます。

遺言書がない場合には相続人全員による協議・法定相続分でわけることになるでしょう。
遺言書に財産をどうするかを書いておけば、特に事情がない限り、遺言書のとおりになります。ですから、きちんとした内容の遺言書を作成しないと、トラブルが生じたり相続人たちの仲が悪くなることにつながります。

法が決める

相続の仕方を法が定めるということは、国が決めることです。もっとも、国を作るのは国民です。
実際に、被相続人の最終意思である遺言書が優先されるとはいえ、被相続人相続人を自由に決めることはできません。遺言書の内容にしても、法律が定めた事項に限定されています。

財産は自分のものであったけれども、死亡すれば権利も義務も負うことはありません。それなのに死後の財産の帰属先を自由に決めることができるというのは、行き過ぎだという意見があります。相続は法で定められていて、遺言書を作成しておいた場合だけ、多少、法の規定を修正することも許されるという考え方です。

最終意思である遺言書が死後も絶対的に有効であるとすると、廃止されたはずである家父長制を事実上存続させることにもなりかねません。財産を特定の子ひとりにすべて譲るのはその典型でしょう。このやり方(考え方)が問題を引き起こすこともあります。

法と常識のどちらを優先させるか

人が死亡したら、その人の財産はすべて国庫に入るとしたら、ほとんどの人が不満を持つでしょう。また、死亡した人の家族の生活を大きく変えてしまうようなことも望ましくありません。

国としても、そして相続人たちとしても、相続開始後、行き先のない財産がでるようにはしたくないわけですが、その方法が正義にかなって、国民が納得できるかどうかが重要です。
立法も重要ですし、問題が裁判所に持ち込まれた場合の裁判官の役割は重大です。簡単にまとめると、

  • 相続人は相続分を遺言書でかなり自由に指定できる
  • 法は被相続人が何でも自由にできるようにはしていない

のであり、相続に際して、相続人がそのどちらを重視しているかによって、遺産分割の仕方、遺産分割協議の内容についての受け止め方が大きく異なるといえます。その結果、

というどちらかになりますが、相続人の考え方が異なると、協議がちぐはぐになります。感情的な対立が生じないかと心配になります。
彩行政書士事務所では、遺産分割協議の相談を受けるとき、相続人の皆さんの立場・考え方を踏まえて対応するようにしています。

法定相続分

遺産分割のときに「法定相続分」という考え方があることがよく知られているせいか、法定相続分を算出しないことには、遺産分割協議ができないと思っている人もおられるようです。

  • 法定相続分を参考にして、
  • 亡くなったとの関係によって「扶養・療養看護の義務の程度」等を算出し、
  • 実際の義務より多くの貢献をしたか、それとも少なかったかによって相続分を決める

という協議の例も実際にあります。「法定相続」という言葉はよく知られていますが、亡くなった方、遺産を譲ってもらう方の気持ちよりも、法定相続分を必ず優先させなければならないわけではありません。

で、分け方を決めればよいことです。「相続の当事者で決めてから行政書士のところに行って遺産分割協議書を作成してもらう。」ということではありません。決まらないうちから相談いただければと思います。

協議書は誰でも書けそうですが

遺産分割協議書という法的書面ですが、簡単な作文にみえるかもしれません。誰でも書けそうな気がするかもしれません。実際、誰でも書けるような単純な協議書のこともあります。(事故などによって文字を書けない人のことは、「遺産分割協議の仕方」「法定相続分とは何か」ということとは別に篤く考えられています。)
遺産分割協議書の書き方もネットで無料で紹介されていますし、パソコンを使ってきれいに印字できるでのです。

当然ですが、重要なのは遺産分割協議書の内容です。あまりに好き勝手な主張をしたり、非常識な解釈をすれば協議がまとまりませんから、

について、まずお話しましょう。次に

などについて検討しましょう。相続にかぎらず、何かと問題のある人はいるものです。高齢になったため判断力が衰えた人もいるでしょうし、もともと考え方の違う人もいます。相続人の中に常識の通じない人が一人か二人は必ずいるものだと思っていたほうが無難でしょう。

 

遺言書がなく、遺産分割協議でも意見が分かれそうなときなどは、法定相続分が重要になってきます。

また、マイナスの財産(負債・債務・借金等)は、法定相続分にしたがって引き受けるのが原則(たくさん遺産をもらった人が、その額に応じて借金の責任を負うとはかぎらない)ですから、具体的に法定相続分がいくらなのかは重要です。


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葬式直後から、遺言書の信憑性や内容について疑義があるから裁判所に訴えたいというような場合は、弁護士の業務ですからご希望があれば弁護士事務所をご紹介します。