遺産の注意義務

遺産の管理

相続開始後、相続人は相続の承認をするのか放棄をするのか検討する(熟慮する)期間があります。
遺産は、現金にしても物にしても不動産にしても、遺産分割が終了するまで誰かが保管・管理するしかありません。
高価な壺を棚から落として割ってしまったらどうするのでしょうか。

注意義務には、

  • 自己注
  • 善管注意

があります。
それぞれ表現が長いので、よく略して用います。

  • 「自己の財産におけるのと同一の注意」(自己の固有財産におけるのと同一の注意。自己のためにすると同一の注意)を要する場合と、
  • 「善良な管理者の注意」(善良なる管理者の注意)を要する場合があります。

有名画家が死亡前、最後に描いた作品を投資目的で購入しようと思っても、自宅に置くのでは盗難とか火災とかカビが生えるとか、いろいろ不安があります。そこで、購入した画廊で預かってもらえば安心でしょう。画廊は絵画を扱う専門家ですから、盗難予防装置もあり、湿度調整などもきちんとしたところで保管してもらえるに違いありません。その代わり保管料もかかります。このとき、画廊には「善管注意義務」があります。絵画を扱う専門家であり、お金をもらって管理しているので、その職業や地位にふさわしい注意をする必要があります。

一方、自己の固有財産におけるのと同一の注意なら、その人の能力に応じて、その人が自分の財産を通常管理しているようにやればよいのです。まったく注意をしなくてよいわけではありません。
遺産の管理・相続だけでなく、自己注・善管注意はいろいろな場面で問題になります。

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