身近な人でも協議は書面で

遺産分割協議は書面でする

示談書や遺産分割の協議のときに、メモ・書類という「証拠」を残してあるとよいのですが、そういうものを残したがらない人がいます。

もちろん最終的に、当事者双方が納得している示談書・協議書・契約書ができればよいのですから、途中経過はどうでもよいとも考えられますが、協議のしはじめから最終的な署名捺印までの経緯がわからないと、最終段階で予想外の意見の相違や感情的な対立を起こすことがあります。経過を双方が正しく認識するということはとても大切です。

メモや途中経過を残したくない人は、「いちいちメモをするのは面倒だし、ある程度まとまってから書いたほうがわかりやすい。」らしいのです。
本当に本人はそう思っているのかもしれませんが、心の奥で、あるいは直感的に、「もし自分が不利なことを『うっかり』『勘違いして』書いた場合に、取り消しができなくなることを怖れている可能性もありそうです。

最近は商取引でも、「あのときは確かにそう言ったけれども、△△を考慮していなかったので、撤回・訂正させてもらいたい。」というと、極力応じてくれる傾向だと思います。顧客との将来の関係も考慮して、あまりに不親切・杓子定規なやり方をすると信頼を失い、好感度が落ちてしまうからでしょう。評判にかかわります。「ひとりのお客様の後ろに大勢のお客様がいる。」と考えているでしょう。

商取引よりも相続は難しい

ところが、相続というのは「客商売」ではありません。相手は親・きょうだい(兄弟姉妹)です。相続問題になるのはたいてい兄弟姉妹(あるいは、義理の親・子、片親の異なる兄弟姉妹など)の間でしょう。話がまとまらなくなってきて、最後は「嫌われても構わない」という心理になっていることもあります。

そもそも相続というものを、多くの人は人生で1回か2回しか経験しないでしょう。実質的に「1回」だけということも多いですから、将来的な信頼など考えてはいないかもしれません。(昔、伝統のある家では家族・親族・一族は絶対に仲良くしなければならないと思っていたようですから、現在でもいる同様の考え方をする人はいるはずです。)

父母がいると、それぞれについて相続が発生しますから、ほとんどの人は相続を2回経験しそうな気がしますが、たとえば母が死亡したとき、正式な遺産分割協議をせずに父がすべてを相続し、子供たちは父の死亡後に母の分もまとめて遺産分割協議をするというケースがあります。これは実質的に「人生で初めての遺産分割協議」でしょう。

もともと父と母の遺産の範囲がよくわからなかったりしますから、このやり方でもよいのだと思いますが、ひとたびトラブルになると泥沼状態、相続人のひとりにだけ有利、裁判しようにも証拠がないので裁判にもならない・・・というようなことになる可能性があります。

押しの強い人に負けない方法

何でも「法律、法律」と言っていては社会生活に支障をきたすでしょう。しかし、当事者同士の協議では解決できない紛争となったときには法律で解決するしかありません。法律手続きでは「証拠」の有無で決まることがほとんどですから、「あのとき、誰がみても明らかだったこと」が法律(裁判)では無視されることがよくあります。収拾がつかなくなったような場合には、事態の整理がよくなされていないことが多く、「こうなったら裁判だ!」という意気込みは、意外と「空振り」に終わります。

上に書いた、「自分に不利なことをうっかり言った場合に、取り消しができなくなることを心配する人」というのは、相手がうっかり言ったことは訂正させてくれないことがあります。どうしても「あのとき、あなたは確かにこう言った。」と言い張ることが多いようです。

ですから協議内容のメモ・書類は、「こういう理由で、こうする。」と理由も記しておいたほうがよいのです。そうしておけば、理由がおかしい場合は、その理由を踏まえた決断は勘違いだということがわかるからです。

だからこそ、自分に有利に進めば良いと考えている相手方はメモ・書面を残したがらないのです。そういう人は「本能的に」こういうやり方をするのかもしれません。自分に不利なことは無視し、有利なことはゴリ押しします。

では、こちらも同様の方法で対抗すればよさそうですが、このように揉めてくると、話し合いが進みませんから、最後は訴訟となります。そうすると「証拠」がないので、たいていこちらが負けます。(最終的な勝ち負けとは別に、こういう協議では精神的に非常に疲れます。実際、心労から病気になってしまう人も少なくありません。)

話したのではダメ

「その日話したことは、その都度メモに残そう。」「面倒なら、全部私が書面にするから、確認の署名だけしてほしい。」というような申し出もきっと断られるので、専門家をとおして書面にすることをお勧めします。

「すべてを専門家に任せたほうがよい」というのではありません。協議内容そのものは難しくないケースがほとんどなので、現状を正しく認識し、相手の主張を確認して、それについて自分の意見を述べる書面を作ればよいのです。
この業務は「事実関係に関する書類」「権利義務に関する書類」の作成を業務とする行政書士が(費用・報酬からみても)最適です。

相手が専門家に依頼するしないは自由でよいですが、自分の意見をいうときには、専門家をとおして「自分がこのように回答・要請などする理由」もあわせて相手に通知すると、不必要な誤解が生じたり、ごまかされたりする心配はかなり減ります。裁判をする必要もなくなる可能性が高いです。

遺産分割とは、このように法律も裁判も役に立たない過酷な協議のことがあります。
これを避けるために「遺言書」を活用できるはずなのですが、その遺言書がそもそも「きょうだい対立」を引き起こすようなものであることがあるので、遺言書は細心の注意を払って作成すべきなのですが・・・なかなかそうはいかないのが現実です。

とにかく「協議は書面で」なさることをお勧めします。

土曜・日曜・就業時間後の面談も可能な行政書士

川崎市中原区に本拠を置き、武蔵小杉・元住吉で面談をしている行政書士です。

土曜・日曜・就業時間後の面談も可能です。なお、まったくの時間外でも極力、電話相談などはお受けします。相談は少しでも早いほうが、依頼する人も、依頼される私も余裕をもって対処できるので、困っていることがあればいつでもお電話ください。

「事実関係に関する書類」「権利義務に関する書類」、具体的には示談書・契約書・誓約書・念書の作成や、内容証明郵便作成、不倫の慰謝料請求、遺言書相談などを主力業務としています。

その他、行政書士の業務は幅広いので、気になることあればご連絡ください。必要に応じてふさわしい専門家をご紹介します。
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武蔵小杉を中心に業務を行っていますので、東急東横線・JR南武線・都営地下鉄・田園都市線・京王線沿線の皆様からのご依頼をいただいています。

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