相続遺言書

養子と跡継ぎ

学生時代、外国語の学習をし、結構多くの単語を暗記しました。基本単語を覚えるのは当然ですが、哲学用語とか、経済・政治・歴史関係のものなど、授業や試験のために暗記しただけで、それ以外にはまったく使わない語や熟語・言い回しなどがたくさんあります。

自分もいつかこの世を去るときが来ますから、そのときには「単語を覚えた苦労」が水の泡になってしまいます。もし可能であれば、私の覚えた単語を自分の子に「相続」させてあげられればいいのに、と私は考えたことがあります。

同様に、雨の日も、風の日も、雪にも負けず、夏の暑さにも負けず、時には風邪を引いて熱があっても、友人と喧嘩して腹が立っていても、詐欺まがいの商法に引っかかって大損をしても、それでもコツコツと働き、預金をし、マイホームも手に入れたとすると、自分がこの世を去るときには、自分の財産を、自分の特別な思い入れのある人に遺したいと思わないでしょうか。

相続について家族で話していると、たとえば子供たちが「相続する予定の遺産内容」で揉めることがあります。そんなとき、親が、「不公平だなどと言っていると、遺言書で全財産を公共機関に寄付すると書いちゃうぞ。」と言うことがあります。その場合、親も子も

「それはもったいない。何とか自分たちで合意しなくては。」

ということになるようです。たいてい「もったいない」という感覚は共通していそうです。

これが現在の法律、世の中のあるべき姿として妥当かどうかわかりません。おそらく理論だけを重視して考えると少しおかしいのかもしれませんが、現在のところ、これでよいのでしょう。このまでは良くないとしても、社会全体としての価値観や流行が変わるまでには時間がかかります。

彩行政書士事務所のホームページでは、法律と正論をいうまえに、まずは当事者の感性と一般常識を先に考慮したいと考えています。
そうすると、自分が苦労して築いたものを、自分の子に相続させたいという気持ちは素直に納得できる気がします。(仲が悪い親子も大勢いますから、そういう事情があれば別です。)

お家騒動?

たまたま有名企業(老舗の同族非公開企業)である「△ツカン」の婿養子問題をネット上で(2019年頃からよく知られるようになったらしいです。私は数日前にネットで)知ったのですが、現代の出来事とは思えないほど時代錯誤・前時代的な出来事だという人がいたので、この記事を書く気になりました。
現在の我が国の法律には当てはまりにくい印象がありますが、遺言書や相続の業務をしていると、多かれ少なかれ、あちらこちらにある話です。

時代はどのくらいで変化するか

「一世代」はだいたい30年と計算するようです。ある統計によりますと、たいていの人は25歳くらいで自分の価値観が決まるそうです。(あくまでも一説によると、ということです。)つまり、25年か30年くらい経過すると、突然ではありませんが、世の中の常識が変わるのでしょう。

他の記事にも書きましたが、
「婚姻届を出すまでは、男女が同居するのは非常識」
という時代から、一世代から二世代かけて、
「この人と結婚すると決めたら、同居をはじめて、いずれ機会をみて婚姻届を出す」
と考える人が多くなったという考察があります。これを信頼してよいかどうかはわかりませんが、とりあえず信頼すると、親子は30歳くらい年齢差があるでしょうから、親子の考え・常識には、ズレがあって当然ということになります。祖父母と孫の考え・常識は「別物」になっていてもおかしくないでしょう。

家(同族企業)の跡継ぎ問題、跡継ぎのための養子縁組などについては、昔からのの考え方や慣習が続いていると思います。今後も、一定の人々の中ではまだ受け継がれていくでしょう。

  • 養子縁組すると、親子関係はどうなるのか
  • 婚姻時に遺留分放棄をするのは妥当か

という点も知っているとよいでしょう。

サントリーやロッテも同族経営の非上場企業だそうです。他人に買収されることもなく、財務状況も公開せず、身内でやりくりしていくのが同族経営で、そういう会社はたくさんあります。会社だけではなく、そういう組織もたくさんあります。

養子縁組

自分亡き後、財産を国に帰属させたくはない。自分の子に相続させたい。しかし、子がいないとかいう理由で、相続に困っている人もいます。古くからの名門の家だから跡継ぎを遺したいということもあります。そういう可能性のある人は、私がここで書くまでもなく、とっくに検討しているでしょう。

  • 養子縁組には、他にも、
  • 自分たちには子供がいないけれども、ぜひ「子育て」をしたい
  • 恵まれない子を自分が幸せにしてあげたい
  • 相続税対策として養子縁組をしたい

という場合などもあります。

どこから養子をもらうのかもいろいろですが、
自分の兄弟姉妹に数人の子がいると、ひとりを養子にもらうということもあります。
自分の孫を養子にすることもできます。

たとえば自分の兄に子が2人いるので、1人を養子にもらうという場合、上に書いた「自分が子育てをしたい」という場合とは違って、下のような家族構成になることも実際にあります。
たとえば、「青木夫妻」には実子が2人いて、親戚に白山さんという人がいるとします。

この場合、白山二郎さんは、太郎さんと菜奈さんの実子で、共に暮らしていますが、二郎さんは白山さんの家を継ぐので苗字が異なっています。おそらく、結婚して新居を持つまで両親と一緒に暮らすのでしょう。もちろん、何の問題もありません。

相続

法律では家制度がなくなったのだから、そういうことはナンセンスだという人もいるのですが、実際には、誰が家を継ぐかとか、自分が跡継ぎになるとか、墓を守るのは誰かなどということはよく協議されています。
おそらく、白山家は代々続く名門の家柄とか、大地主とか、同族経営の大企業であるという事情があるのではないでしょうか。

ご先祖様が広い田んぼを持っていたとしても、田んぼという現物を、子供たちが均分に法定相続分どおりに相続していけば、いずれ広大な田んぼを所有する人はいなくなるわけで、そうなれば、「広大な農地を有する△△家の跡継ぎは誰なのか」ということは話題にもならなくなるでしょう。

しかし、本家が田んぼを所有して、分家の面倒をみて、分家の人たちも本家を盛り立ててゆくような家柄は、少なくなるとは思いますが、今後も存続し続けるでしょう。田んぼではなく、土地・ビル・企業などいろいろ考えられます。
これは諸外国にもあてはまると思います。

 

ここでは跡継ぎ問題との関連で書きましたが、問題が表面化するのは相続開始のときが多いです。上に例としてあげたような大企業であれば、経営や法律に詳しい人がいるので、時間をかけてあらかじめ計画しているのですが、身の回りにプロ集団がいない人(家)からの相談はよくいただいています。
家を継ぐという問題と、親の老後の世話については密接に関連していることが多く、遺言書作成につながることも多いです。