事実婚の不妊治療

日本産科婦人科学会は、昭和58年に定めた会告で、体外受精を行えるのは法律上の夫婦に限るとしていましたが、平成26年6月21日、学会のルールを改め、事実婚の夫婦(婚姻届を出さない事実上の夫婦)にも認めました。

もっとも、事実婚の夫婦にも認められることはすでに時間の問題でした。
事実婚と同棲の違いが見分けれれるのか、見分ける必要があるのか、という問題はあると思いますが、わからないものは判断できません。
明確な判断と拒絶ができない限り、医師は不妊治療を断ることはできないのかもしれません。
事実婚を証明する書面が必要だとしても、もし住民票でよければ簡単に用意できるでしょう。

事実婚と相続

「役所に婚姻届を提出する法律婚」と「事実婚」では、離婚や相続のときに違いがあります。事実婚の場合は、他人との区別が難しいことがあるので、保護を受けにくかったり権利行使がしにくい可能性はあります。しかし事実婚とは、当事者の個人的な問題に第三者を介入させないのでしょうから、実際には支障ないのかもしれません。法律婚をしている人との間で、不貞行為の慰謝料(不倫の慰謝料)の問題が生じることはあると思います。

 

事実婚では、「同棲」との区別がつきにくいということがあります。法律婚の場合は離婚すると、俗に「バツイチ」「バツ2」などという表現があります。これは、戸籍が電子化される前の制度(つまり手書きの戸籍)で、その戸籍から出た人の名前を交差する2本の線で削除したものが「X」に見えたからですが、事実婚の場合も同棲の場合も、別れたときに何の手続きもないので、離婚(事実上の離婚)の記録が残りません。

その場合、子供の母はわかっても父がわからないとか(DNA 鑑定があるとはいっても、父を認定するのにいちいち医学的鑑定をするのは正常な社会とは思えませんが)、重婚についてどう考えるかということはあります。事実婚のカップルの子の相続関係は複雑になりそうですから、前もって準備をしておいた方がよいのではないでしょうか。

死亡時の給付金

勤務先企業の規定によっては、従業員が死亡した場合などに配偶者(事実婚の人は「パートナー」というでしょうか)に何らかの手当が支給されることがありますが、戸籍に配偶者として記載がある人に限っていることがあります。パートナーの生活だけでなく、もし(不妊治療などによって)お子さんがいれば、お子さんの生活にも影響があるかもしれませんので、念のためご注意ください。

 

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