再婚禁止期間
婚約解消後、婚約期間中に発生した費用負担に関して協議が続いているうちに、別の人と婚約する場合もありますし、その婚約中の問題が解決する前に別の人と結婚する場合もありますが、ここに書くことは、再婚についてです。
女性が離婚後、再婚する場合には「再婚禁止期間」があります。待婚期間ともいいます。この期間設定や制度自体に不満な人は「禁止」期間といい、これを認める立場の人は「待婚」期間という傾向があるかもしれません。
このサイトの他の箇所にも書きましたが、再婚禁止期間は「父性推定の重複」を避けるためですから、生まれてくる子の福祉も考慮してのことです。
女性にのみ適用される印象がありますが、前婚の解消または取消しの日から一定期間を経過するまで女性は再婚できませんので、その女性と結婚したいと思っている男性にも適用されることになり、女性にだけ酷な規定とはいえないかもしれません。「酷」というのは、法律用語ではよく使いますが、気の毒とか不公平という意味です。
平成27年12月16日の最高裁判決で、「6か月の女性再婚禁止期間につき100日を超える部分については違憲判決」とされました。
この100日が現実に大きな障害になるのかというと、あまりそういう話は聞きません。実際にはトラブル回避の方法があります。法律上は、
- (1)結婚中に妻が妊娠した場合は、夫の子と推定される。
- (2)離婚した日から300日以内に生まれた子は、離婚した夫の子と推定される。
- (3)再婚した日から200日を経過した後に生まれた子は、再婚した夫の子と推定される。
という3つのルールの兼ね合いがあります。
もし、女性が離婚してその直後に再婚し、200日経過した時点で子どもが生まれたとすると、生まれてきた子は(2)と(3)のどちらにも当てはまってしまうので、その子は、離婚した夫と再婚した夫の両方が父親だと推定されてしまいます。こういうことのないように再婚禁止期間が設けられたようですが、明治時代にこの法律が作られたときから、それはわかっていました。しかし、父親が誰なのかわからなくならないように「念には念を入れて」法律を作ったので、医学の進歩した現代では、そこまで慎重にするとかえって権利侵害になるという判断のようです。
画期的な判断というほどのものではないと思いますが、とにかく現在では、結婚禁止期間・待婚期間は100日となっています。
子供がいるのかいないのかということは、離婚にあたっては養育費の取り決めがあるので重要な協議事項ですから、再婚の場合にも注意しなければなりません。子供の福祉という点からは特に重要でしょう。相続のことも考えて遺言書などの準備もするとよいと思います。