前婚の子片親の違う子遺産分割

遺産分割協議書を先に作成しておく

「父が死亡したので、遺産分割協議書はひな形を見ながらすでに作成した。父の先妻の子どもたちに連絡して必要書類を集めてほしい。父の先妻の子には一度も会ったことがない。」

というような依頼を時々いただきます。

また、法律上は兄弟姉妹らしいけれども、今まで全然知らなかった人から、「父が死亡したので遺産分割協議書をお送りします。署名押印して返送してください。」と書かれた書面が届きました。署名押印しなくてはならないのか、というお問い合わせもいただきます。

法定相続人同士が「知り合い」ではない

子供が幼いときに離婚して、それ以来、死亡するまでの何十年間、親と子はまったく会っていないというケースはよくあります。死亡した人の法定相続人である子どもたちにもまったく交流がなかったのです。

しかし、相続開始後、法定相続人の間で遺産分割協議書を作成しなければならないことがほとんどです。

遺産分割協議書を作成してから、法定相続人を探すというのは理論上、あり得ないことです。

遺産分割協議とは

まず、遺産分割協議をしていないのですから、協議書はできません。はじめに紹介したような例ですと、法定相続分を算出しただけのことがあります。

法定相続分遺産分割するとはかぎりません。特別受益とか寄与分とか、年老いた父母の療養看護・日常生活の世話をした相続人が遺産を多くもらうことはよくあります。不動産をもらう人と、現金等をもらう人に分かれる場合もあります。どのように分割するのが妥当か協議する機会が必要です。

一軒家やマンションなどの不動産を物理的に切り離して相続できないことは明らかでしょう。そうすると、売却して、その売却金を相続人が分けることになります。これが換価分割で、遺産のわけかたとしてはわかりやすいです。

ただし、その不動産が先祖代々の土地などであれば「人手に渡る」ことになります。自分の代で土地を人手に渡してしまうことは避けたいという人は多いです。

遺産分割協議書 行政書士 川崎市中原区

先祖の土地などを受け継ぎたいとき

そうではなく、相続人のうちのひとりがその不動産を受け継ぎ、他の相続人には相当額の現金を渡す方法もあります。これなら先祖の土地などを受け継ぐことができます。これを代償分割といます。昔であれば長男が受け継いだでしょう。

不動産は評価額が高い場合、譲り受けるべき遺産相当額の現金を用意できないことがあります。

不動産を3000万円と評価して、相続人が3名(A男、B男、母の違うC男)がいる場合に、A男がその不動産を受け継ぐのであれば、A男がB男とC男にそれぞれ1000万円ずつ、合計で2000万円を渡すなら公平な感じがします。

A男がこの2000万円をポンと出して、しかも自分の生活に困らなければよいのですが、どうでしょうか。

分割払いができないことも

そこで、A男は、毎月5万円ずつB男とC男に渡すのでよいかと打診してみると、B男は、「それでは200か月、16年以上かかる。A男はまもなく定年退職するのだし、200か月の間、支払い続けられるとは思えない。途中で支払えなくなると困るから、相続分を現金一括でもらうのでなければ不動産相続手続きの書類に印鑑を押さない。」ということがあります。

C男は、「母は離婚後、苦労して自分を育ててくれて、早く一軒家を購入して住まわせてあげたいので、その1000万円は現金一括で欲しい。もし1000万円がないなら銀行で借りてでも、一括にしてください。」ということがあります。

このような状況でA男にお金を貸す銀行があるでしょうか。銀行から融資を受ければ当然利息も加算されます。

B男も、もし分割払いなら、相応の利息も請求するというのもよくあることです。

そうすると、親の不動産をA男がひとりで受け継ぐということがそもそも無理な案だったわけです。遺産分割協議とはそのような話し合いと調整をすることなので、相続人全員に連絡をとることなく、まず最初に遺産分割協議書だけを作成して用意しておくことは(理論上は)できません。試案として作成するのは構いませんが、それを他の相続人に提示するときには十分に注意しましょう。

相続手続きは

相続は、10人(件)あれば10とおりあります。同じ相続はありません。しかし、ある程度パターンはあります。「細かなパーツの組み合わせ」といえるかもしれません。

など、いくつかの要素を検討すると、ある程度、検討すべきことの予想がつきます。

相続開始後の手続きをしていくうちに分岐点があります。右へ進むか左へ進むかのように、決断すべき問題があります。またしばらくすると分岐点があって・・・というように、進みますから、小さな決断の積み重ねです。ときどき大きな決断があるかもしれません。

遺産分割協議書は作成したから、次は法定相続人全員の印鑑証明書と委任状をもらえば完了というほど簡単ではないことがほとんどです。これが簡単だと思っていると、感情的にこじれるなどして、取り返しのつかない失敗になることがあります。

相続・遺言書のご相談は川崎市中原区の彩行政書士事務所がおうかがいし、必要に応じて司法書士や税理士とも連携していきますので、ご相談ください。