相続財産の調査

どなたかが亡くなると当然に(自動的に)相続開始となります。亡くなった人(被相続人)の戸籍を調べて、法定相続人を調査・特定してください。そして、遺言書があれば執行し、遺言書がなければ(遺言書の効力にも問題がなければ)遺産分割協議で相続について決定します。

その際、どのような遺産があるのかがわからなければ、遺産分割の協議のしようがありません。完全にはわからないことも多く、あいまいな点も多々あるでしょう。

不動産

不動産は比較的わかりやすいです。たとえば親が亡くなったとして、親がどこに土地などを所有していたかは、たいていお子さんたちは日頃から聞いていたでしょう。

不動産の話を聞いていなくても、固定資産税の納付状況とか共同担保目録などを調べてみましょう。

現金

現金は家のどこかにあるでしょうから、探してみましょう。買い物に行くときに使うような財布にも現金はあるでしょうが、額は多くないでしょうからそれほど問題にはならないと思います。

へそくり的に保管してあるお金は、丹念に探すしかありません。小銭だけ大きな瓶に入れて貯めていたので、数えてみると何万円にもなることはよくあります。これも通常は大きな問題にはならないでしょう。

タンス預金のようなもの

銀行に預けずに、大きな金額を自宅に保管する人もいます。その場合、きっと空き巣などに持ち去られないように工夫して隠してあるのではないでしょうか。屋根裏とか床下とか、壁に金庫が埋め込んであることもあります。

(私の親は、壁に耐火金庫を埋め込み、壁内部の鉄骨に溶接してありましたから、相続にあたってこの金庫を取り出すことになりましたが、壁に金庫よりひと回り大きな穴が空いてしまいました。外から家の中が丸見えです。壁の修復をするまで数日ベニヤ板でふさいでいました。)

相続財産がわからなくなる例

死亡前に法定相続人にあげたお金は相続財産に算入される場合があります。誰にいくらあげたという記録がなく、もらった人も黙っていれば、相続財産として計算するはずだったお金が不明に(なかったことに)なってしまうかもしれません。

死亡直前に、スーツケースに入っていた1億円を相続人のひとりにあげたとしても、この1億円が相続財産だということが他の相続人にわからないまま、遺産分割協議が終わってしまうかもしれません。税務署からの指摘があれば、納税義務が生じるかもしれません。

共同相続人が不正をしていそうであれば、税に関しては、それぞれの相続人が自分の分についてだけ申告することも可能です。

上の例の変形ですが、家の中に1億円の入ったスーツケースが押し入れに隠してあることを相続人のひとりだけが知っていて、それをだまって持ち去ってしまえば、他の相続人はわからないかもしれません。

ここでは1億円と書きましたが、50万円かもしれないし、5千万円かもしれないし、50億円かもしれません。かつて、自宅ガレージに現金で60億円くらいの現金を隠して、相続税を脱税した人が逮捕されたという事件がありました。50億円とか1億円というのはスケールが大きすぎるかもしれません。1千万円くらいならどうでしょうか。

マイナンバー(個人番号)制度ができてからは、多少、この種の曖昧さは防止されるようになったかもしれません。

親が亡くなった日には、金庫の中にいろいろ入っていたのに、葬儀が終わって遺産分割協議をするために相続人が集まって金庫を開けたら何も入っていなかったという話もあります。

たとえば、同居していた長男は、「はじめから金庫には何もなかった」と主張し、死亡のときに実家にやってきた次男は、「死亡当日に確かに書類と現金を見た」と主張するようなことがあります。

預金

相続人がそろって、親の死亡証明書・戸籍謄本・身分証明書・通帳・銀行印・実印等をもってその銀行(口座のある支店)に行けば引き出せるはずです。

何銀行のどこの支店に口座があるかわからなければ、家の近くや駅の近くの銀行の各支店を片っ端から調べてください。時間がかかります。専門家に依頼することもできます。

また、昔住んでいた住所のそばの銀行にももしかすると口座があるかもしれません。そうやって調査範囲を広げると調査は大掛かりになります。

遺品の中から、手紙や通知書類を探して、銀行名・支店名をみつける方法もあるでしょう。

この調査には相続人の協力がとにかく重要です。いくら丹念に捜索しても、残念ながら「これで完璧」と断定することはできないと思います。

このような調査で発見できなかったお金はどうなるかというと、預かっていた金融機関が時効取得します。この時効取得による利益は金融機関にとっては非常に大きいそうです。

また、通帳を「もらった」人がいる場合があります。相続人でも知人でも、ある銀行の通帳とキャッシュカードを生前にもらっていたという例も結構あります。

たとえば、500万円預金してある通帳とキャッシュカードをもらって、1回に5万円ずつ引き出して、死亡前に全額引き出し終わるような例もあります。

見かけ上は、本人が引き出したかもしれませんし、本人に頼まれて誰かが引き出したかもしれません。1回に5万円程度なら本人がお小遣いとしていろいろなことに使った可能性は十分にありますが、取引履歴と、被相続人や相続人の財産関係を照合してみましょう。

預金の入出金記録

後日、銀行で引き出した記録(取引履歴)を調べるには結構費用がかかります。正確にいくらなのかは各金融機関に尋ねてみましょう。確実に財産が見つかるとはいえないのに、そんなに費用がかかるなら請求するのをやめようかと迷うくらいの額だと思っておけば間違いないでしょう。銀行によって費用も条件も異なることがあります。担当者によっても対応が異なることがあるので、そういう場合は専門家に依頼したほうがよいでしょう。

相続財産は、関係者全員が「遺産ががここにありますよ」と他の人に知らせてくれないと、相続財産の調査は非常に大変だと思います。非常に大変というのは、

  • 労力がかかる
  • 時間がかかる
  • 費用がかかる
  • 相続人同士の人間関係による

というようなことがあるからです。

第三者である専門家を入れたほうがよいと思いますが、コツコツとやってみましょう。

この記事と参考になると思われるのは【相続財産の範囲】です。