遺言書

無効になった公正遺言証書

無効になった公正証書遺言

公証人が作成した遺言書公正証書遺言。遺言公正証書。)ですが、この遺言書の有効性を、相続人である兄弟が裁判で争った結果、遺言者である母親の遺言趣旨が公証人に伝わっていなかったとして無効という判断が大阪高裁で出ました。(平成26年8月28日)

遺産2200万円のうち、半分を長男に、6分の1を次男に渡すというような、長男に有利な内容であり、「これは長男が認知症である母親を主導して作成した」と次男が申し立てたものです。

一審の地裁はこの遺言書を有効と判断しましたが、高裁は、当初の文案を作ったのは長男の依頼を受けた弁護士で、遺言者である母親が公証役場で署名押印するとき、公証人が遺言内容を読み上げるのをうなづいて聞いていただけであり、母親から公証人への内容伝達がないので、この遺言書は無効とした、とのことです。

この判断を聞いた人の感想はさまざまでしょう。

  • 本当に裁判はやってみなければわからない
  • 認知症と診断されていなくても、自分で考えていない人は多い
  • 自分で考える能力がないわけではないが、同居の子の希望どおりにする親は多い

とにかく、「難しい!」と私は思いました。
公正証書が無効とされることは珍しいです。公正証書は形式をしっかり整えているので信頼性が高いわけです。

相続が開始しないとわからない

しかし、書いてある内容が複雑なため、相続開始後に内容の解釈をめぐってトラブルになることはあります。訴訟になるケースもあります。
書いてある内容が、たとえば、「私の全財産を次女の誰々に相続させる。」という場合、この内容では遺留分減殺請求などになる可能性は十分あります。しかし、次女に全部相続させるという内容を他の相続人が受け入れる可能性もあるわけですから、「私の全財産を次女の誰々に相続させる。」という内容の遺言書が悪いわけではありません。こういう遺言書を良くない遺言書と決めつけてはならないのです。

ここでトラブルになった相続人たちは、兄弟姉妹などであることが多いですが、その後の不仲は決定的でしょう。もう縁は切れてしまって、一生、会わない、互いに葬儀にも参列しない、ということになるかもしれません。

おそらく遺言者である親は、これを望んではいないのだと思いますが、そういうことを考えられなくなっていた可能性もあります。
あるいは、事情があって、たとえ相続開始後、兄弟姉妹が不仲になっても構わないような事情があったのかもしれません。

それは仕方がありませんが、遺言書を作成する前にご相談いただければ、第三者としてお話を伺うことができます。できるだけベストに近いものを作りましょう。少々時間はかかるでしょうが、それも業務のうちです。

トラブルになるかどうかは相続が開始しないとわかりません。ただ、一般的に「こういう内容の遺言書はトラブルを起こしやすい。」ということはあります。

 

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