相続

相続登記

相続登記

相続するものには、お金・物品・不動産・債権・債務などがあります。
故人の名義のものは相続人の名義にするなどし、分けられるものは分けます。
分けられないものもありますから、相続財産をトータルして考えることは、普通に皆さんがなさっているでしょう。
それぞれに特徴がありますから、分け方(遺産分割)の方法もさまざまです。

相続 登記 川崎

相続登記はしなくてもよい?

遺産分割や手続きの厄介なもののひとつに不動産登記があります。そして、相続手続きの中で、不動産登記は大きなウェイトを占めているでしょう。登記というより、誰がどの不動産をどういう割合で相続するのかという分割協議のほうが大変です。もっとも、相続では不動産登記はしなくても構わないこともあります。

動産と不動産

物品・動産ですと、とりあえずそれを持っている(所有している・所持している)人が、正当な所有者だと思うのが普通です。

「うちに古い壺があるんですけど、もしかしたら芸術性の高いものかもしれません。一度、うちにいらしてご覧になりませんか。よろしければ(有料で)お譲りします。」

ということになって、その人の家に行ってみたら、実際に壺があって、気に入ったから売買した、ということもあるでしょう。普通は問題は生じません。

その壺が、盗品だったということがあるかもしれませんが、実物を持っている人が正当な権利者だと思うのは無理もありません。

家に置いてある壺を買ったのに、後日「実はその壺は、その人の弟さんから預かっていただけだから、弟さんに返しなさい。」ということになったらどうしよう・・・と考えていては、取り引きというものが不安でできません。
そこで、上のような売買のとき、

  • 動産であること
  • 有効な取引行為によって占有を取得すること
  • 無権利者または無権限者からの取得であること
  • 取得者が占有を取得すること
  • 平穏・公然・善意・無過失に占有を取得すること

という条件を満たせば、譲り受けた人のものになります。(盗品の場合は、さらに面倒な法律関係があります。)
これは、誰が所有者かを常識的に判断できるようにしたものです。

不動産登記

不動産の場合、ある土地に人を連れて行って、
「ここが私の土地なので、今なら格安でお譲りします。」
「では、すぐに買います。領収書をください。」
というように売買して領収書を持っていても、販売した人が所有者でなければ、その領収書は土地を買い受けて所有者になった証拠ではありません。ただだまされただけです。

そのような事態を避けるために、不動産には「登記制度」があります。誰の所有であるかなどを公に知らせるものです。登記簿の記載が真実とは限らないので、「登記が実は間違っている」ということは第三者(当事者もしくはその包括承継人以外の者で、登記の欠缺(けんけつ)を主張する正当の利益を有する者)には主張できないとお考えください。

相続ならば

売買や相続で不動産を手に入れた場合でも、すぐに正しく登記をしなければならないというものではありません。

実際、おじいさんの名義の土地になっているけれども、おじいさんが亡くなった後、おじいさんの子供が相続し、その子供たちも歳をとって亡くなり、今はおじいさんの孫が所有者である可能性もあります。
登記をしていなくても、それで困らなければ構いません。おそらく売買などをする予定がなければ困らないでしょう。しかし、何かとトラブルの元になる可能性はあると思います。

不動産の売買には、不動産業者が入り、金融機関のローンを使うことが多いですから、登記も厳密にすると思います。できれば1分1秒の時間の誤差もなく、所有者を正しく申請しておきたいくらいです。

ところが、相続で不動産を手に入れる場合は包括承継であることが多いです。包括承継とは、「故人の遺産の何分の1」というように相続することです。包括承継ですと、登記がなくても第三者に真の所有者が「この不動産は自分のものだ」と主張できます。
第三者に所有者であると主張するのに登記が必要かどうかは以下のようになります。代表的なものをあげておきます。

  • 譲渡–登記が必要
  • 相続–包括承継であるから登記不要
  • 遺産–遺産分割協議によるなら登記が必要
  • 遺贈–登記が必要

相続遺言書がない場合など、多くの場合に包括承継ですから、相続登記をしない人がかなりおられます。困っていない人も多いようです。
しかし、トラブルの元になる可能性がありますから、登記はした方がよいと思います。
売買と違ってそれほど手続きが難しくないので、登記所(法務局)でアドバイスをもらいながらご自分でなさる人も多いです。

非課税の土地が高価になる?

土地を所有していると税金がかかります。しかし、自分の土地の一部が、誰でも通行できる道路と認められれば非課税になるでしょう。所有者ははっきりしているし、相続の対象にもなりますが、非課税なのでわざわざ登記をしなくても不自由はないと考えられます。所有者もかなり前に亡くなった祖父のままだったりします。

祖父に子が2人いて、その子たちが亡くなって、それぞれの子に2人ずつ子供がいたとすると、現在の所有者は4人となります。その私道に隣接する土地を、その4人のうちのひとり(Aさん)が所有しているとします。

Aさんが、この土地を担保にして銀行から融資を受けることにします。銀行は、この私道を4人共有から、Aの単独所有にして名義変更してほしいというでしょう。Aさん名義の土地を有効活用するために、この私道部分を使うことがあるかもしれません。そのときになって、他の3名の同意や許可を得なくてはならないとなれば面倒です。

Aさんは、どうせ私道部分で、自分で自由に使えるわけでもないのだから、他の3人が無償でAに譲ってくれると思っていました。

ところが、他の3人は、自分たちがその土地を譲らなければ銀行が融資を渋ると知って、Aさんに「その土地を買い取ってくれ。」といいだしました。

どうせ私道で、非課税だし、自分たちの自由には使えないのだから、まったく自分たちには価値のない土地だと全員が思っていたのに、Aがその土地の権利を所有する必要があるとなったとたんに、その土地に「価値」がついたのです。

Aが他の3人に手数料程度の僅かな金額を支払って済むならそれでもよいのですが、他の3人はAにかなり高額でないと譲らないと言っています。Aは、誰もが無価値の土地だと思っていたときに、きちんと登記手続きをしておけばよかったと後悔したのでした。

というような話もありますから、相続登記をしなくても違法ではありませんが、Aさんの立場からみると、登記の手数と費用をケチらずに、きちんと登記はしておくべきだったでしょう。

逆に、他の3人のような立場の場合、今は無価値でもそのうち価値が生じるかもしれないということでもあります。

ただ、たとえば建物を相続したけれども、使用するつもりもないし、高く売れる時代が来るかもしれないのでそのままにしておいた結果、その建物が崩れて人に怪我をさせたとなれば責任は所有者にあるでしょう。損害賠償責任を負うかもしれません。