初めての遺言書なら

遺言書を初めて書く方へ

法律上はよく「遺言する」といいますが、「遺言書を書く」「遺言書を作る」ことです。遺言書の形式はいろいろと紹介されています。そのような「作成キット」も市販されています。

相続人のために、そして子孫の幸福のために、さらに最近では自分の老後の幸福のために書かれる方が増えていますが、場合によっては、かえって災いをよぶことがあります。以下のことには気をつけるとよいと思います。

ここでは、「初めての遺言書」について考えていることをご紹介します。「初めての遺言書」とは、「遺言書の初歩」という意味ではなく、「1通目に書く遺言書」というつもりです。

  • 遺言書は一度しか書かない
  • 遺言書の内容は、戦国武将のような洞察力をもって決める
  • 遺言書を書いたことは、相続人等に知らせておく必要はない
  • ・もし遺言書を変更等するなら、よほどの決意と計画をもって
  • 相続人には遺言書を保管させない
  • 遺言書は専門家に任せればよいわけではない

以上は、「初めて遺言書を書く人」に、とりあえずの指標としていただきたいと思います。事情に応じた対応が必要なことはもちろんです。その場合はご相談ください。
下に簡単な説明をしましたので、ご参考にどうぞ。

遺言書は一度しか書かない

遺言書は、遺言者の最終意思ということになっていますから、何度変更しようと最終のものが有効です。しかし、どうして何度も変わるのでしょうか。

離婚したとか、結婚・再婚したというならわかります。子供が先に亡くなったとか、特定の相続人に資金援助したとか、そういう理由もわかります。

親が年を取ってから、良く面倒をみてくれた子にたくさんの財産をあげるという遺言書を書く。だから、競って親の面倒をみるように、という内容ですと、身近な人たちの間で、何か感情のもつれが生じないかと心配になります。

遺言書は戦国武将の洞察力をもって

相続開始後、相続人たちに争いが起きないようにするのは「親の器量」だという説があります。つまり、戦国武将と同様に、自分の知恵と経験で、今後のあり方を指示するべきだというものです。

トラブルの「芽」はどこにでもあります。交通事故でも重大な過失がある場合と、ついうっかりとか、誰にも避けられない事故があるでしょう。同様に、誰かに問題があって起こる問題と、特に問題はなくても小さな不注意とか、不慮の事故・不運で生じる問題もあるでしょう。
避けられないトラブルは仕方がありません。善処しましょう。

遺言書の変更はしないのが基本

相続人にまったく平等にするならよいのですが、たいていの場合、それは難しいのです。

  • 社会常識に照らして公平に育てたか
  • 相続人の価値観によって、遺産の評価が異なることがある。(人によって欲しいものが違う。)売却したらいくらなのかという評価は法的に正しくても、遺産分割協議では価値観が違うかもしれません。
  • 相続人の個性に応じて、ふさわしいものを、適切に配分しているか
  • 気の合う子と、合わない子に差を付けていないか(差を付けるのは、遺言者の自由ですが、それによって子供たちが不仲になるでしょう。)

これがベストなのだと自信を持てるくらい確かな遺言書を作成してください。

遺言書の作成は内緒でいい

法的評価と、相続人による評価は違うかもしれないので、それを考慮した上で敢えて指定するなら、相続人が納得できる内容にしてください。それでも不満を持つのは相続人が不心得なのかもしれません。そのような相続人に苦情を言われないように、遺言書を書いたことは内緒にしておくとよいでしょう。

みんなが納得できるようにするために「付言事項」として、そのように分けた理由を明確に書いておくことをお勧めします。

遺言書相続人に預けないのが基本

遺言書は、自分亡き後発見されないと意味がないので、公正証書遺言にすることもあります。
一般的には、その遺言書によってもっとも得をする相続人に預けておく、ということがありますが、それは「その遺言書に不満を持つ相続人がいる」ことがわかっているからです。できるなら、そのようなことは避けましょう。それが原則だと思いますが、事情によってはやむを得ません。
預金通帳などと一緒にしておけば、自分亡き後、遺言書が発見されないということは考えにくいです。

遺言書は専門家任せにしない

遺言書を作成するとき、専門家に相談した方がよいのはもちろんです。作成の仕方、法の適用など、アドバイスを受けられるでしょう。

「こういう事情ですが、一番良い遺言書にしてください。」と依頼されることはあまりありません。
「『誰々に全財産を譲る。』という遺言書を作りたいのですが。」といわれることが多いです。

「このようにしたい」と依頼されれば、法的に問題のない限り、ご意向通りに手続きできます。しかし、遺言書が本人と家族、子供たちの幸せのために、なるべく良い結果となるように、というご希望があれば、事情をうかがって、こちらから提案もできます。

そのように、お互いに知恵を出し合う方法もあると思います。「専門家だからできるだろう」という信頼はありがたいのですが、知恵を出し合えばもっと良いものができると思います。

川崎市中原区の行政書士

彩行政書士事務所は、川崎市中原区の行政書士事務所です。遺言書や相続手続きの場合には、依頼者のお宅へ出張してお話しした方が、落ち着くかもしれません。また、話の途中で、不動産の情報や預貯金の確認をしたいときにはすぐに参照できるでしょう。

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