遺留分減殺

遺留分がもらえない

遺留分がもらえない

遺言書などで、あなたの相続分が非常に少なく指定されているとします。明らかに遺留分減殺請求ができるとしましょう。

遺留分減殺請求はいろいろな方式でできるのですが、確かに請求したことを証するために、内容証明郵便を用いるのが一般的(というよりむしろ常識)です。

遺留分減殺請求というのは、請求した時点で「手続きが完了」します。あなたの遺留分が侵害されているから、遺留分の額まではもらいたいと他の相続人に通知すれば、法律で定められた最低限の遺産(簡単に言うと法定相続分の半分)はあなたのものであることが決定します。

ですから、その後は、極端にいうと、あなたはもう他の相続人からあなたに銀行振り込みなどがあるのを待っていればそれでよい、ということになります。

しかし、おそらく振り込まれてこないし、裁判にもならないという例をここでご紹介します。

遺留分減殺 川崎 武蔵小杉

遺留分請求の例

これは大雑把に読んでいただければ十分だと思います。

以下の前提で、お話します。

  • 相続人:あなたと兄
  • 相続不動産:2000万円
  • 相続預貯金・現金:300万円

法定相続分どおりに分割すると、

  • 2000÷2=1000
  • 300÷2=150

法定相続分どおりに遺産分割するのが一番正しいというわけではありませんから、まず、相続人同士でどのように分けるか相談してください。相談は自宅でやっても居酒屋でやっても構いません。これが遺産分割協議です。
もし民法に書いてあるとおりに分割するなら、あなたは1150万円をもらえます。

しかしこの例では、遺言書で、

  • 不動産は全部兄が相続
  • 預貯金・現金は等分に分ける

と書いてあるとすると、

  • 兄は2150万円
  • あなたは150万円

となります。

あなたの遺留分は575万円なので、兄から425万円もらえるはずです。
あなたが内容証明遺留分減殺請求をすると、425万円は振り込まれるかもしれません。

親の財産を隠す

しかし、あなたの亡くなった親にはもっと財産があったはずだとあなたが確信しているとします。
不動産については上記のとおりで間違いありませんが、預貯金・現金が、あなたの記憶や計算によると、最低でも3000万円、多ければ6000万円あるはずだとするとどうでしょうか。

あなたは15年前に結婚を機に実家を出て、別に暮らしています。あなたの兄は、親と同居し、通帳や現金の管理もしていました。兄は、親のお金をかなり自由に管理(操作?)していたのです。

多めに計算しますと、
不動産  2000万円
預貯金等 6000万円
合 計 8000万円

法定相続分 4000万円
遺留分   2000万円

これまでの経過からすると、一番初めはあなたのもらう遺産は150万円となっていましたが、

  • もし遺言書がなければ4000万円もらえるはずでした。

遺言書があるので、

  • 遺留分減殺請求すれば、あと1850万円もらえるはずです。

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「よしっ、こうなったら裁判だ!」

問題は、預貯金等が兄の言うとおり、300万円なのかということです。
兄がそう言い張り、あなたが「全部で6000万円あるはず」というなら、最後は訴訟で争うしか方法がありません。

あなたの推理というか「見込み」ですと、

  • 兄は、あなたが独立してから(今から約14年前くらいから)、何度にも分けて親の預貯金を引き出し、タンス預金とした。
  • そして10年前には銀行口座を解約した。(10年前に銀行口座が解約されたことは銀行が教えてくれました。)

そして、銀行口座の入出金記録がほしいと銀行に申し入れたところ、

  • あなたが相続人であることを証する書面(戸籍謄本など)と
  • 預金通帳あるいは口座番号を提示すれば、

入出金記録を見せるという連絡がきました。(という銀行の態度もおかしいのですが、世の中でおかしなことはよく起こります。)
しかし、兄は通帳をなくしたとか、口座番号は忘れたといって協力しません。
だから、銀行から入出金記録をもらうことができません。(銀行によって対応はさまざまですが、この状況ですと概してあなたに不利で、兄に有利な展開となりがちです。)

税務署が怖くないのか

親の毎年の収入と支出がわかれば、本来、遺産がいくらあるはずなのかおよその見当はつくでしょう。それには納税額が参考になると考えました。
そこで、税務署へ行き、死亡までの確定申告記録(収入と納税額)をできるかぎり過去に遡って見たいと開示請求をしました。

税務署では、

  • 準確定申告をした相続人は兄なので、兄は確定申告記録を見る機会があるが、その他の相続人に示す「確定申告記録」の数字は黒塗りにするので、何の役にも立たないが、それでもよければ開示する。

といわれました。これは個人情報保護のためとのことです。故人といえども個人情報は相続人にも教えません。確定申告記録は、弁護士が訴訟の証拠として用いたいからという理由でも、なかなか税務署から入手できないようです。

そうすると、あなたは親の遺した預貯金等が6000万円だったと証明する手段がありません。
もし、6000万円あったことがわかっても、親が生前に自分で競馬で負けたかもしれません。ホステスさんたちにあげたかもしれません。

ですから、6000万円のうちの多くを兄が不正に自分のものにしたと証明できる可能性は極めて低いので、おそらく裁判では勝てません。

親の財産を兄がもらったなら贈与税などがかかります。本人は「もらっていない」というのでしょうから、これがどうなるかは税務署次第です。税務署の調査は厳しいという話と、そんなことはないという話を両方耳にします。
(ここでの話は「不明金が6000万円くらい」という設定ですが、相続財産が非課税枠内でしたら尚更、行方はわからないと思います。)

相続人の間で問題になる「特別受益」なら、何年でも過去に遡りますが、兄は「もらっていない」というのですから、あなたが調査しようとしてもおそらく無駄でしょう。隠した財産の一部が偶然に見つかる程度のことはあるかもしれません。

遺留分がもらえない

不動産については登記簿によって所有者も価格もわかります。
しかし、動産や預貯金・コツコツと集めたタンス預金等の現金は、兄が隠している以上は、探すのは困難(というより、おそらく不可能)です。兄が故意に隠したとか、兄が自分のために消費したと立証できないことのほうが圧倒的に多いと思われるからです。

以上のようなわけで、内容証明郵便によって遺留分減殺請求ができるのはもちろんですが、これによって取れるのは、不動産に関してだけというくらいの覚悟をしておいたほうが無難かもしれません。

隠した財産の調査をして、兄の不正を証明できる分が見つかったとしても、それで全額ではないでしょう。
遺留分として取り戻せる現金等を特定しても、引き受けてくれる弁護士さんがいるか、その額と訴訟費用・弁護士費用などを総合して考えてみてください。

相続 中原区

遺留分減殺請求を行政書士に依頼するケース

兄の隠した現金等を探し出して、兄が不正に取得したことを裁判で立証するには弁護士事務所に依頼しなければならないと思います。

しかし、そうではなく、上の例のように、

  • 不動産の状況は明らかであり
  • 兄のいう預貯金・現金等の額を信じる(それで我慢する)

のであれば、
遺留分減殺請求は行政書士に依頼するほうがよいと思います。

(以上は、平成27年に実際にあったケースをもとに、編集・掲載していますが、あくまでも一例です。)

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