遺言書と遺書

遺言書を書くのが「縁起でもない」、「まだまだ何十年も先の話」と感じている人が多いかもしれません。しかし、遺言書と遺書は違います。遺書は特殊な事情のある人が「直前」に書くものかもしれませんが、遺言書は、確かな判断力のあるうちに、将来のため、配偶者や子孫のために、指示をしておくものです。

親の器量

自分亡き後、自分と家族関係の濃い人たちが幸せに暮らしていけるように遺す指令書であり、愛情のこもった手紙だと思います。子孫への「襷(たすき)」だとも考えられるでしょう。
遺産相続のことで、子孫が争って「争族(そうぞく)」にならないようにするのは、「親の器量」だという人もいます。

将来を読む力

そのために、確かな判断力のあるうちに、また、不慮の事故に遭ったりする前に書いておく必要があります。

また、自分亡き後だけでなく、老人介護等の問題と絡んで、遺言書の役割も変化しています。本人が亡くなる前から遺言書が問題になる機会が増えています。

遺言書 遺書 川崎市

遺言書遺産相続の難しさ

まず、遺言書を書くのが初めてなら【初めての遺言なら】を先にご参照ください。

遺言の難しさとは、たとえば次の文面の遺言書があったとしたらどうなるかを考えてみましょう。

 

「私の経営していた寿司店の建物と借地権は、長男の一郎(昭和55年5月5日生れ)が取得して、寿司店を続けるように遺産分割をすること。また、寿司店の経営に関する負債もすべて一郎が承継して、他の兄弟に迷惑をかけないこと。一郎は寿司店を継ぐが、他の兄弟と不公平にならないように、預金、株、生命保険金等を分けること。」

一読すると立派な遺言書にみえるかもしれませんが、専門家なら上のような遺言書は作成しないと思います。以下の問題があります。

  • 親の意志は尊重すべきですが、この遺言書のとおりにしなければならないわけではありません。
  • 一郎さんひとりで、遺言書を添えて、法務局で相続による所有権移転登記ができる場合がありますが、上の例ではできません。

「建物と借地権を取得」と書いてあるだけなので、遺産分割協議や家庭裁判所の審判等を経るまでは、寿司店店舗は相続人全員の共有だからです。
遺言者の考えは察しがつくのですが、遺言者の希望にそえないかもしれません。

受遺者が先に死亡したら

法定相続人でない人(Aさん)に、生前大変お世話になったから、自分亡き後、自分が所有していた不動産を差し上げたい、ということなら、遺言書にその旨を記しておけばよいでしょう。

しかし、自分が亡くなる前に、受遺者であるAさんが亡くなってしまった場合、この遺言書の内容がどう扱われるかご存知でしょうか。

法定相続人が先に死亡した場合には、その子が代襲して相続をしますが、法定相続人でない場合にはどうなるでしょうか。

簡単に言いますと、遺言書の「Aさんにあげる」という部分は無効になります。当然に(自動的に)Aさんの子に権利が移転するようなことはありません。

もし、Aさんの子に不動産が移転(特定遺贈)されるようにしたいなら、はっきりとそのことを書き記さなくてはなりません。

行政書士は、そのような遺言には慣れていますから、お申し出ください。

遺言書 遺贈 川崎

法の規定に従って

書き方のルールは細かに決まっていますので、規定に外れているために、遺言書が無効になることも珍しくありません。不正を防ぐためでもあり、また、方式に則って書く能力がないようでは、法の下で、冷静な判断をする能力がないという意味も込められているのではないかと私は考えています。
遺留分特別受益、条件付遺言や予備的遺言などを支持するには、かなりの知識と判断力が必要です。

遺言書は老後・相続・子孫の繁栄に大きく影響します。相続相談・遺言書関係のご確認は、一度は専門家になさってみてください。